ギタリスト、森川祐護とポリゴンヘッドのブログ。
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帰りの電車内で、ボクは窓際に立って
ぼんやりとiPodを弄っていた。

ふと目の前に座っているB-boy風の少年に眼をやると
やはりiPodを手に、手持ちの曲を検索している。

後もう少しで、地元の駅だ。
電車が、緩やかに失速して行く.....。

少年が、急いでiPodをポケットにしまうのを見て
なんとなく、ああ。同じ駅で降りるのだなと思う。

そして案の定、少年は席を立っ........

あ、あれ?

ウィ〜〜〜〜ン。ガシャっ!

ロボットの様に不自然に起き上がったと思ったら
中腰のまま、身体を硬直させて止まってしまった。

........。

........。


周りの人達も、少年の不穏な空気に気付き始める。

少年は、先程のiPodでチョイスしたであろう
音楽に合わせて、

ウィ〜〜〜ン、ガシャ。

ウィ〜〜〜ン、ガシャ。

ウィ〜〜〜ン、ガシャ。

ウィ〜〜〜ン、ガシャ。

BPM60位のテンポでゆっくりと
ロボットが階段を上る様な仕草で席を立ち
そのテンポをキープしたまま、ブレイクダンスを始めたのだった。

あっけにとられる、ボクや他の乗客の視線をモノともせず
ガラス窓に反射する己の姿を凝視して踊っている。

ーーーーーー

痛い。

痛いが、しかし.....この少年、ダンスは本当に巧かった。

少年が水平に広げた両手をくねらせ、
なだらかな「一人ウェーブ」を描くと
隣に居たボクまで、ついウェーヴを繰り出してしまいそうに成った。

もし今、そのiPodに流れている音楽が
「ドッキリ」さながら車内全体に聞こえていたのなら
ボクは、ちょっぴり感動すら出来たのかも知れない。

それこそ、
人目を憚らず四六時中踊っているからこその腕前なのだろう。

ーーーーーー

空いている時間帯とはいえ
電車内で踊られるのは、ちょっと迷惑だけど。

この少年の、無自覚な「痛さ」...あるいは逆に
「痛い事もイタイと思わぬ」程の過剰な自意識。

体中の毛穴から、吹き出す。
『俺は、ダンサーなんだ!!』という気恥ずかしい程のオーラ。

なにか、一つの事を突き詰めて行こうとする人間が
必ず1度は通るであろう、イタイタしい時期.......通称『痛期』。

少年にとってのブレイクダンスを
ボクにとってのギターに置き換えれば

幾らでも、思い当たる『痛エピソード』満載の我が人生。
この少年の事をどうして諌める事が出来ようか?

そんな事を考えているうちに、
電車は、駅に到着。

扉が開いた。

ウィ〜〜〜ン、ガシャ!

電車から降りるボクの右足は
釣られて、ロボット調に成っていた。
あいたたた。

ーーーーーーー

プロ漫画家よりも
アマ漫画家の方が、ベレー帽率が高い。

多分、そんな話です。
森川 祐護 (PolygonHead / ポリゴンヘッド)
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森川祐護
ギタリスト。
ポリゴンヘッドと云う
ストレンジなギターポップ・ユニットを演っております。
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